――プルアップはクールなエクササイズだ。
ポール・ウェイド著「プリズナートレーニング」より
1.まずは私のぶら下がり健康器
自宅で使っているぶら下がり健康器です。
もう15年以上の付き合いとなりました。
ホームセンターで購入したものですが、まだまだ使えます。
今現在、同じ値段のものだとまっすぐのものが多い印象を受けます。
頭の部分が「くの字」になっているのが何がいいのかと申しますと、器具と体との引っ掛かりが少ないなと。
まっすぐのものだとぶら下がると、支えるための枠がなんとなく邪魔に感じてしまうのです。
慣れればなんてことはないのでしょうが、同じくらいの値段ならまだ使えるわけですから、私としては今のぶら下がり健康器で十分なわけです。
2.なんだか背中が鍛えにくい
トレーニングは数多くありますが、自重で行う際、胸なら腕立て、太腿ならスクワットがありますが、背中と言ったら懸垂以外、思い浮かばないのではないでしょうか。
テーブルやデスクワークを使っての斜め懸垂などありますが、あれをやるには大きくて丈夫でないとバランスに不安がありますし、正直、継続して行える人は少ない行えるように感じるところです。
そういうワケで、背筋は他とは違って、何らかのモノがないと鍛えにくい部位ではないかと思います。
上記の「プリズナー・トレーニング」の著者であるポール・ウェイド氏も、アームバーなどといった器具の購入を勧めております。
つまり、背中という部位は器具や道具が無いと鍛えにくい部位なわけです。
で、ぶらさがり健康器を購入したとしても、筋力が弱いと1回も上がらず、嫌気がさしてしまって諦めてしまう方も多いのではないでしょうか。
ジムに行けば、軽い負荷のラットプルダウンから少しずつはじめていけば少しずつ筋力もついてきますが、それでは初心者向けに自宅トレから始めようとする当サイトの主旨に反してしまいますよね(´-ω-`)。
3.ちなみに懸垂の不都合な話
懸垂は背中以外にも上腕二頭筋が鍛えられますが、腕の筋肉は背中よりは小さいために疲れが早い。つまり広背筋より腕、つまり上腕二頭筋や指が先に疲れてきます。
さらに体が重いと、なかなか自分の体を引き上げて回数をこなすことができない方も多いでしょう。
そこで懸垂を数多くこなすためには、アームカールなどで上腕二頭筋を発達させて上腕を疲れにくくさせると、懸垂もやりやすくなるということでもあります。
ですから運動不足の方やまだ運動に慣れていない方には、引き上げるだけの筋力がまだないので、1回もできないというのは当たり前で、それほど気にすることはないと考えます。
しかし、ぶらさがりなどによるストレッチ効果によって柔軟性が増すことで筋肉に力が入りやすくもなり、背伸びをするより背筋を張りやすく体幹の矯正も行えるので、懸垂が出来ない方でも背中に刺激を与え続けていくことが必要です。
4.背中は大事
背中、いわゆる広背筋は上半身の中で大胸筋よりも大きな筋肉で、スポーツや日常生活でも大切な筋肉です。
格闘技なら、「ヒットマッスル」と言われる部位ですし、様々なスポーツでも多く使われる筋肉です。
また、背中と言えば主に広背筋ですが、脊柱起立筋と呼ばれる腰付近の筋肉も背中に含まれ、普段目立ちませんが、日常生活でも姿勢を保ち、スポーツでは良いパフォーマンスを行うために大切な筋肉でもあります。
スポーツや腰痛防止のためにも、「背中」はしっかりと鍛えておきたいですよね。
5.だから背中を鍛えましょう
年を取ると筋力が衰えます。
背中の曲がった猫背のお年寄りの方がいらっしゃると思いますが、あれは背中の筋肉が衰えて大胸筋や腹部の脂肪に引っ張られて、姿勢が保てなくなっている状態なのです。
その状態のままでは腰に負担もかかり、日常生活にも支障が出てきます。
ですから、しっかりと背中および、腰の筋肉も鍛えて今後の生活に支障を起こさないようにしっかりと筋力トレーニングを行っていきましょう。
6.これはやっておきたい
背中を鍛えるためのトレーニング
(1)上体そらし(バックエクステンション)
同じ背中ですが、懸垂で鍛えられる部位は上背に対し、上体そらしにより鍛えられる部位は下背と呼ばれております。
基本は両手両足の伸ばしてうつ伏せになり、反動をつかわずに両手両足をゆっくりと同時に動かします。
図は少し大げさですが、腰にじんわりと負荷を感じられる部分まで反らしてみましょう。
1セット10~15回を目安に。
下背と言っても、いわゆる腰を支える脊柱起立筋がメインとなるトレーニングです。
デスクワークでは腰に負担がかかりがちですし、スポーツなどでも使われる体幹なので大事な箇所なのですが、地味な運動のためについついおろそかにしがち。
気分転換、腰痛防止にもなるので、積極的にやっていきましょう。
私も腰に不安な時期がありましたが、これをおこなうことで腰の負担がかなり軽くなりました。
他にも、両腕両足を肩幅に広げて伸ばした状態で、体を反らしながら「右腕+左足」「左腕+右足」を左右交互に行う感じに動かすことで広背筋にも刺激を与えることができます。
(2)タオル・ラットプルダウン
少し長めの大きなタオルを使います。
体を斜め45度に傾け胸を張った状態にします。タオルの両端を握り、その両端を引っ張りながら頭上に突き出すような恰好にします。
・上半身の角度を保ったまま
・視線はまっすぐに。
タオルの両端を引っ張ったまま肩甲骨に寄せるようにして、深呼吸しながら首元までゆっくりと後ろに下ろしていきます。
数にして2から3つ数える感覚で行いましょう。
肩甲骨の動きを意識し、筋肉に刺激がくるように行うと効果的です。
運動に慣れた方でも、特にデスクワーク等勤務中でのストレス解消をするにはちょうどいいトレーニングです。
タオルラットプルダウンとスクワットをそれぞれ15回ずつ行うと、程よく筋肉の張りが出てきて体がほぐれてくるのでおススメなトレーニングです。
私が実施してみた感じでは、ゆっくり20回くらいだと集中が切れてしまうように思えました。
タオルの代わりに堅い木の棒でもグリップ感や他にも運動ができるので良いのですが、街中まで持ち歩くわけにはいきません。
おまわりさんに怒られちゃいます。
ですが、タオルだったらどこに持っていっても問題ないでしょうし、タオルラットプルダウンもスクワットも、立ったままどこでも行えるのが利点だと言えます。
(3)ローイング
ダンベルが無い場合、百均にあるような手提げ袋くらいの大きさと水入りペットボトルを用意してください。
2リットルのペットボトルならどこにでも売っていますし、扱う重さもわかりやすいのではないかと思います。
大きめのビニール袋でも構いませんが、雰囲気も大事だと思うのでここは手提げ袋を使用しました。自分に見合った分のペットボトルを横にした状態で袋に入れてローイングを行います。
袋の持ち手部分だと地面についてしまい、力が逃げてしまう場合があるので、袋の口をつかんだ状態でローイングを行います。
体をまっすぐにしたまま斜め45度くらいにして倒し、空いた側の手で机や椅子など体を支えて行います。※ 詳細は「主なトレーニングメニュー5つ」で
・腰に負担がかからないこと。
・袋を手にした脇側に重さが伝わってくること
これら二つを意識して行いましょう。
それでも、やっぱりあると助かるダンベルやフラットベンチ
(4)ぶらさがり
自宅にぶら下がり健康器がある。
他には近所の公園などの公共場所に高い鉄棒があるといった場合、ぶら下がりをして腕や背中を鍛えていきましょう。
懸垂1回を目標にしたぶらさがり。
その姿勢で限界まで……だとモチベーションに左右されやすくなってメリハリがなくなるおそれもあるので、1回は体を上げる意識のまま10カウントしてみましょう。
筋トレというよりも感覚としてはストレッチといったところですが、ストレッチでも柔軟性が高まり可動域を広めることで、普段使っていなかった筋肉が活性化し、筋力が向上していきます。
ぶらさがりを1セットから3セットはやっていきたいところですね。
その後、1回でも懸垂ができるようになれば、1セット目はできる限り懸垂をします。2セット目からは体があがらなくなるでしょうから、のこりのセットはぶらさがりで10カウントして筋肉に追い込みをかけていきます。
反動を使わないで上げ、3つ数える感覚で上げ下げし、ゆっくりと行います。
(5)斜め懸垂
ある程度の公園なら、斜め懸垂が出来るだけの鉄棒はあると思いますが、ぶら下がり健康器にも出来る箇所がありますので、懸垂の出来ない方は、こちらも行いましょう。
自分のようなタイプのぶら下がり健康器だと、赤丸印の箇所で斜め懸垂が行えます。
狭いよ、と思われる方もいるでしょうが、アンダーグリップで行うと脇を締める姿勢となるので、狭さはさほど感じられません。
一般的に行われている上から握るオーバーグリップだと、脇が開いて肩も稼働するからか、背中や脇への刺激を感じにくいと思います。
(6)腕立て伏せ
自重の腕立て伏せも、体を深く下げた時に肩甲骨を寄せることで背中、特に脊柱起立筋へと刺激が伝わりやすくなります。
また、体幹トレーニングとして有名な「プランク」のように、姿勢もまっすぐにしていますから、自重の腕立て伏せは意外と様々な筋肉を鍛えているのです。
少々話がずれますが、ベンチに体を預けるベンチプレスと異なり、不安定な体勢ですので、体幹の筋肉の動員率が高くなります。その分、スポーツや日常の動作に近いというわけで、効果的な筋トレであると言えます。
番外編 自作ラットプルダウンマシン
写真のダンベルは、30kg程度。
ラットプルダウンを行うにはかなり軽め。
腕の方が先に疲れちゃう、もう少し背中に刺激を意識したい方にはホームセンターに売られているシャクルや滑車などを使い、ぶら下がり健康器につけて、自作ラットプルダウンマシンをつくってみるというのも手です。
ぶら下がり健康器自体の耐荷重、自宅ですと床の具合や市内の広さ等、様々の理由で限界があるので、ジムのような高負荷とまではいきません。
しかし、懸垂と違って、背中に意識を向けやすいトレーニングを行えます。
軽い負荷ですから、懸垂ができない方でも、背中を鍛えることができるのがメリットと言えます。
ダンベルのシャフトは意外に太いので、ダンベルに直接カラビナをつなげるのではなく巻いてつける感じで。
(上記のカラビナは直接つなげようとしたので、大きめサイズ買ってしまいました)
ロープの調整や金具選びが面倒でしょうが、できあがればそこそこ重宝します。
懸垂を行うとき邪魔じゃないかと気にする方もいるかもしれませんが、自分はさほど気になりません。
素早く上げようとすると反動でダンベルが揺れてしまい、かなり危険ですので絶対にスロートレーニングで。
すでに筋力が発達している方は懸垂やローイングなど行った後、追い込み用に行うと良いかも。
7.最後に
チニング(懸垂)が一度もできない人が広背筋を鍛えるメニューとしては、
ぶらさがり→ローイング→タオルラットプルダウン
(重い負荷→軽い負荷)
の順番で筋肉を追い込みをかけていくと良いでしょう。
いくつか紹介しましたが、タオル・ラットプルダウンは軽い負荷でのトレーニングですので、懸垂が1回もできない方でも広背筋を鍛えることができます。用いる重量も軽めなのでマッチョマンになるのでは? という心配をする必要もありません。
ただ軽い負荷だけに刺激の少ない方もいると思います。
1種目だけ行うのではなく2種類以上、例えば
ぶら下がりの後にローイングとタオル・ラットプルダウンなど
複数組み合わせてストレッチ感覚でゆっくり行うとより効果的だと思いました。
背中は日常生活でとても大切な筋肉です。
しっかりと鍛えて予防に努め、健康な日常生活を目指していきましょう。
自宅に器具があれば、更に快適なトレーニングができるようになります。
その他の背筋トレーニング参考動画