はじめに
トレーニングをして筋肉が刺激を受けると、筋肉の細胞は損傷します。それを修復、再生することで筋肉は増強していくわけですが、この壊れた筋肉を修復してくれるのがたんぱく質です。
たんぱく質には肉、魚などの動物性と大豆、アーモンドなどの植物性などがありますがイメージとして脂質の多い動物性を避けて植物性を選んでしまいがち。
ですが、人に若々しい力を与える性ホルモンをつくりだすコレステロールや、人間の体内では合成できない9種類の必須アミノ酸が多く含まれているため、トレーニングの相性が良いとされています。
健康的な体づくりをするためには動物性たんぱく質を含む肉や魚も欠かせない食材であると言えます。しかし、脂質が気になる分、バランスよく摂っていく必要があります。
1.目安はどれくらい?
たんぱく質を摂るといっても、どれだけ摂れば良いのか気になるところ。
以下の本では次のように書かれています。
「たんぱく質の一日の摂取量上限は、目安として体重1kgあたり約1g程度と言われています」
~ダイエット検定2級テキストより
「筋肉をつけるためには、体重1キロgあたり1日およそ1.5gのたんぱく質を摂る必要があります」
~加圧トレーニング発明者
佐藤義昭著「誰も教えなかった本物のダイエット」より
「いったいどのくらいのたんぱく質が必要になつてくるのか。自分の体重1キロにつき、最低でも2g程度。多くて3gと思ってほしい」
~船木誠勝著「ハイブリッド肉体改造法」より
各書籍で摂取量はそれぞれ異なっていますね。
ダイエット検定とハイブリッド肉体改造法では最大で3倍くらい違います。
それぞれ権威のある方々やきちんとした団体ですし、迷ってしまう方も多いと思いのではないでしょうか。
ただ、どれが間違いというわけではなく、どれも正しいのです。
摂取量は、目的によって異なります。
2.必要なたんぱく質摂取量について
※ クリックすると拡大されます。
厚生労働省は日本人の食事摂取基準で普通に生活する成人男性に、1日に65gを推奨しています。
農林水産省は50gという見解。
(緑文字をクリックすると各サイトに移動します)
ただ、これは大まかにみた目安であってもっと運動しようという方は、よりカロリー消費量が激しいですし、その分、より多くのたんぱく質が必要になっています。
上図は「スポーツトレーニングの基本と基礎理論」から抜粋したものですが、このようにトレーニング実施者のレベルや時期に目的などにおいて摂取量に違いがあります。
3gはちょっと見当たりませんが、格闘家やプロレスラーはハードなものです。
活動していない人よりもトレーニングがハードになりますし、目指す体格というものもありますから、その摂取量も変わってきています。
この中で「間もない時期」での必要量が多いのが意外ですね。
このサイトはトレーニング初心者向けあり、「ムキムキ」ではなく「健康」なからだづくりを目標としております。
過剰な摂取を避けるためにも、一日のたんぱく質摂取量は約1gからおススメいたします。
体重50㎏の方は1日50gの摂取が必要、という感じです。
「多いんじゃない?」と思う方もいらっしゃるかもしれませんが、その分だけ動くということも意識していきましょう。
たんぱく質は人体に不可欠な栄養素のひとつです。
トレーニングをしないという方でも、自身の体重分のグラム数は摂取するよう心がけていきたいものです。
3.プロテインで補助する
通常の食事でたんぱく質を摂取しようとすると意外に難しく、特に筋力トレーニングをしている人だと1日約100gから150gが理想とも言われています。しかし、これだけの量を一般的な3食の食事で摂れるものではありません。
たとえステーキなどで規定のたんぱく質を摂っても、その分余計な脂質などもついてきてしまい、過剰なエネルギー摂取となりかねません。
「高たんぱく、低脂質」が理想なわけですが、そういった余計なものをできるだけ摂らないようにプロテインなどで補助していきます。
たんぱく質を摂りすぎた場合、ダイエット健康協会では
「糖質・脂質の過剰摂取が肥満につながることは良く知られていますが、筋肉をはじめとする体組織の主成分となるタンパク質も同様であることは意外と知られていません」
という見解なのです。日本スポーツ協会による公認スポーツ指導者養成テキストでも
「継続的なたんぱく質の過剰摂取は脂肪増加につながることを覚えておく必要がある」
と書かれていますが、他の書籍では
「たんぱく質には糖質や脂質のように体に貯蔵する仕組みがなく、過剰分は尿として排泄されてしまう」
と記載されているものもあります。
意見の分かれるところですが、排泄されるにしても腎臓に負担がかかってしまうので、過剰摂取は腎機能障害や尿中カルシウム排泄量も増加させてしまうために、骨粗しょう症にもつながると言われています。
トレーニング量が増えればたんぱく質の量もふえていくわけですが、どちらにしても過剰摂取にならないように計算していく必要があります。
なお、たんぱく質が不足すると、体力低下、免疫力低下、血管が弱くなり脳卒中の危険も高まります。前述したように簡単に摂取できる栄養素ではないので、過剰摂取を気にすることよりも積極的に摂っていくことが大切であると考えます。
たんぱく質が含まれている食品の一例 | ||||||||
食品名 | たんぱく質量(g) | エネルギー(kcal) | ||||||
牛もも肉(100g) | 20.7 | 191 | ||||||
豚もも肉(100g) | 21.9 | 143 | ||||||
鶏ささみ(1枚) | 23 | 105 | ||||||
カツオ(80g) | 20.6 | 91 | ||||||
サケ(80g) | 17.8 | 106 | ||||||
木綿豆腐(100g) | 6.6 | 72 | ||||||
卵(1個) | 6.2 | 76 | ||||||
スポーツ選手の完全食事メニューより |
4.プロテイン摂取のタイミング
一般的に知られているのがトレーニング後30分間の「ゴールデンタイム」と呼ばれる時間帯で、この時間帯はたんぱく質摂取に一番良い時間と言われています。
その他にエネルギー確保のためにトレーニングの1~2時間前、筋肉の修復を目的とするなら、就寝の2時間前にも良いとされています。
現在ではゴールデンタイムだけでなく、たんぱく質の合成感度が24時間続いていたという研究対象から、24時間の摂取を意識しようという流れになっておりますが、トレーニング後からたんぱく質の合成率は次第に下がっており、最も高いのがゴールデンタイムと呼ばれる時間帯です。
加えて、疲労困憊まで行ってという条件はついていますので、必ず摂取しなければならないというわけではなく、自分のトレーニング内容や食事などから摂取するか考えましょう
トレーニングレベル、タイミング、摂取量など以上の点を踏まえて、タンパク質摂取に努めていきましょう!
5、運動後、30分以内で筋肉の修復に必要な3つの要素
運動すると体からはグリコーゲンなどといった栄養素が使われてしまい筋肉も分解されてしまいます。そのため筋肉は飢餓状態にあるといえます。
このタイミングでたんぱく質を補給すると効率よく体に吸収されて筋肉がつきやすいと言われていますが、たんぱく質の他に
・ クエン酸
・ 糖質
をといった3つの要素を組み合わせて摂ると、疲労も回復しやすくなります。
1、たんぱく質……肉類、魚介類、卵、大豆、大豆製品、乳製品 など
2、クエン酸……梅干し、レモン、パイナップル、グレープフルーツ、オレンジ、リンゴ酢 など
3、糖質……ごはん、バナナ、芋、パスタ、うどん、パン など