食事やカロリー計算とかめんどくさい

 身体活動レベルが高い人々だと

 

 男性……3,000kcal

 女性……2,250kcal

 

 が、必要となるエネルギー摂取量と言われていますが、ここは初心者向けトレーニングサイトですので、一般の方々基準にします。

※ 厚生労働省「推定エネルギー必要量」より


そもそも、カロリーてなんですか

 カロリー(calorie)とは「熱量の単位」という意味があります。

 

 人間が活動するために必要なエネルギー量、或いは摂取する食品が持つエネルギー量と考えてもらうと良いでしょう。

各栄養素のカロリーは

 

 たんぱく質   1g……4kcal

 脂質      1g ……9kcal

 炭水化物(糖質)1g……4kcal

 

 と言われております。例えば、

 

 バター5g ✕ 9kcal = 45kcal

 

 となるわけです。

1kcal消費するだけでも大変

 栄養学、生理学では測定方法が異なりますが、1kcalのエネルギーを使うだけでも大変であることがわかります。

(1)栄養学におけるカロリー測定

 測定方法は爆発燃料計というなんだかすごい装置で測定。

 

 1kcalとは1リットルの水を14.5℃から15.5℃まで1℃上げるために必要な熱量

 

 脂質を例にあげると、脂質は1gで9kcalの熱量を持っています。

 

 これを燃焼させると、14.5℃の水9リットルを1℃あげることができるということです。

1リットルの水の例(2リットル容器の半分)

9リットルの水の例


 1gの脂肪が持つエネルギーは、右図のペットボトルの分の水温を1℃変化させられるということです。

 

 1℃変化したから、どうなのと思いがちですが、人間の体温に置き換えてみると、1℃の上下の変動で、癌になりやすいだの免疫力の低下など変化が起きるので、エネルギーを消費させるということは、それだけ大事だということではあります。


(2)生理学におけるカロリー測定

 測定方法は人にマスクをつけて運動させた後、呼気を分析し、酸素の消費量から測定。

 

 1リットルの酸素が消費される時、5kcalの熱を出すと言われ、10ℓの酸素が消費されたと測定された時は50kcal消費したことになります。  

 

 一般に売られている23㎝くらいの風船の場合、風船そのものの重さは約2g。

 

 風船いっぱいにヘリウムガスを入れると、大体7ℓ入ると言われています。

 

 つまり、風船1個を膨らますのに、35Kcal消費するということ。

 

 成人男性の1日の必要カロリーが2,650kcalと言われておりますが、

 

 2,650÷35=75.714…

 

 と、1日約76回以上風船を膨らませれば必要カロリーを上回ることができるわけです。

 

 風船ダイエットというダイエット法が一時期流行りましたが、やってみると、その作業はけっこうきついです。

 

 カロリー消費がいかに大変か、何となく想像ができるのではないかと思います。


1.カロリーを控えよう。

(1)食生活を見直そう!

 

「食べすぎたな~」

「ダイエットしなきゃな~」

 

 と考える方は多いと思いますが、いざダイエットを始めるにあたって壁にぶち当たることも多いのではないかと思います。

 

 1日のエネルギー摂取量が消費量をうわまった場合、あまったエネルギーは外に排出されるか体に残ってエネルギーとして蓄えられます。

 

 この蓄えられたエネルギーの代表的なものが体脂肪であり、この脂肪が過剰に蓄えられていると健康に様々な問題を招く肥満の原因となってしまいます。

 

 反対に、エネルギー摂取量が消費量を下回れば、体内の体脂肪を分解してエネルギーを調達します。

 これを意図的に行うのがダイエットと言えます。

 

 例えば上図の30~49歳2,650キロカロリーが基本的な必要カロリーとなっていますが、肥満に悩んでいる方はその摂取カロリーを下回れば貯蔵エネルギーである脂肪分を使って補おうとするわけです。

 

 しかし、日常の中で正常に活動していくためにもバランス良く食事を取り続けることが前提ですから、断食しろということではありません。体が糖新生を起してしまい、筋肉をエネルギー源として使用してしまうため、ますます「太りにくい体」から遠のいてしまいます。これまでの食生活を見直し、余計なものを口にしないという食事制限をしていくということです。

※ 30歳~49歳を対象にした場合の食事の一例。

朝定食 580kcal
カルボナーラ830kcal、紅茶(佐藤1個)20kcal
間食 ようかん1切れ 80kcal
ロールキャベツご飯肉じゃが味噌汁 750kcal
摂取カロリー合計 2,260kcal
消費カロリー合計 2,650kcal

 

 (摂取カロリー)-(消費カロリー)=不足カロリー

食事エネルギー量、厚生労働省「肥満を防ぐ食事」

主な食品のカロリー表

主な食品のカロリー表

※ クリックすると拡大されます。


(2)食生活をGI値でも見直そう!

 

 GI値とは食品・食材を摂った後に血糖の上昇度合いを指数で表したもの。

 

 ブドウ糖を100%と基準にして各食品食材の数値が示されてあります。

 

 図を見ていただくとわかる通り、血糖値の上昇とカロリーの高さとは必ずしも比例しないものです。

 

 ダイエットでは主に低GI値を摂るように勧められますが、高GI値の食品・食材も風邪をひいたときや幼児の食事、試合開始直前の運動効果アップに使われたりします。

GI値(グリセミック・インデックス)表

 白米白糖など精製されたものは食べやすくなりますが、GI値が上昇し栄養素が失われています。

 また、日本人は糖質を摂りすぎるという傾向があると言われていますが、一方で若い世代に野菜摂取量が減少しているという厚生労働省の結果も出ています。(p22より)

      厚生労働省平成28年「国民健康・栄養調査の結果〝結果と概要〟より」

 

 近年の糖質制限ダイエットが言われているのも、過剰な糖質摂取が原因のひとつにあると考えますが、体の維持に大切な野菜摂取も気をつけたいところです。

 ただし、気をつけてもらいたいのは、意外なもののGI値が高いということ。

 

 牛もも肉が46でチーズが33に対してニンジンなどは80、じゃがいもが90。

 

「じゃあ、ニンジンやじゃがいも食べなくていいのか」という話になってしまいますが、測定時のサンプルの問題でこのような数値が出てしまいます。

 

 上記の数値はニンジン3本くらいに相当すると言われております。

 

 アメリカ日本とデータの取り方もまちまちなようで、そこもややこしいところ。

 

 ニンジンじゃがいもは食物繊維や他の栄養素が豊富と知られていますから、GI値を気にするなら、白米やパンなど精製された糖や液体化した糖や果糖類が良いでしょう。


(3)低GI値食品が有効な場合

・ スポーツを始める1~5時間前

 この時間帯に低GI値食を口にすると、血糖値上昇が穏やかになり、インスリンの過剰分泌を防ぎます。

 インスリンがでないことで血中に糖質が残り、それをエネルギーに利用しながら同時に体脂肪を継続的に燃焼させることが可能。

 マラソンなど長時間スポーツはエネルギーを長持ちさせるのに有効です。

 

・ ダイエット中、および生活習慣の予防・改善を指摘された時

 インスリンの過剰分泌を防ぐことで、低GI値食は肥満の予防や改善する手段として有効です。


(4)高GI値食品が有効な場合

・ スポーツ直前の栄養補給

 スポーツ直前にブドウ糖の錠剤を飲んだり、15分程度で吸収できる高GI値食品を少量食べると効果があると言われています。

 おにぎりバナナ(GI値55)などは代表的ですよね。

 

・ マラソン、サッカーなど長時間に及ぶスポーツでの栄養補給

 体調を維持するには、高GI値食が効果的と言われています。

 

 他には

・ 風邪をひいたとき

・ 幼児期

では高GI値食品が有効とされています。

 こうしてみると、高GI値食品は日常的にスポーツしている人向けと言えますが、タイミングや食品選びが難しいですね。


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2.実際はどうか

 色々書いてきましたが、実際はどうでしょう。

「これが何カロリー、あれが何カロリー」と計算しながら生活している方はどれだけの方がいるのでしょう。

 

 最近では低糖質ダイエットというものも流行っているそうですね。エリカ・アンギャル氏の言う通り、過剰な糖の摂取は美容と健康に害をもたらすと言います。

 

 

 特に砂糖は中毒性が強く、猿に用いた実験で砂糖と麻薬の中毒性を調べたところ、砂糖のほうがずっと強かったという結果が出ているとか。しかし一方で、女性はそのホルモンの影響により甘いものを食べたがる傾向にあるとも言います。

 加えて、砂糖ではなくてもご飯やパスタ、パンのような炭水化物も体の中で糖分となるので、ダイエット等では敵扱いされます。

 

 しかし、敵とは言いつつも、糖質は筋肉や脳のエネルギー源となるものですから、まったく必要ないというわけではなく、適量にとる必要がでてきます。

 

 適量といっても、個人個人によって異なります。

 

 権威のある方がこれが適量と書いていますが、参考にはなってもそれが果たして本人の適量になるのかどうか。

 



3.食事の仕方にも注意

 通常、食事を終えて消化するまでに4時間かかると言われます。

 さらに夜は副交感神経が働いています。交感神経が働く昼がエネルギーの使用に使われるのに対して、夜はエネルギーの消費も低下しています。

 

 体がお休みモードになっているために胃の活動も弱まってしまっているので、睡眠時は消化するのにも倍の時間、つまり8時間かかってしまいます。

 

 そんな夜寝る前に食べ物を口にすると、本来は休んでいるはずの胃に胃酸が出てしまって負担がかかり消化不良は起こすし、それでも活動が弱いから食べ物が残っている胃が持たれる。朝の目覚めはすっきりしない、何も食べたくない。

 

 このような乱れた食生活を送っていると、健康へのマイナスにも繋がりかねません。

 

 多様な生活スタイルがある現代社会ではその生活スタイルに合わせた食生活が必要で、加圧トレーニングを発明された佐藤義明氏のように「1日2食」を提唱する方もいらっしゃいます。

 

 佐藤氏は朝9時、夕方4時に食事を摂るというスタイルです。

 これはフレックスや裁量労働制、またはデスクワークが多くて一日の活動量が少ない人に合う食事方法だとご自身は解説されておりました。

 

 1日3食は朝早く起きて、日常的に体の活動が活発な人に向いていると言えます。

 それぞれの生活スタイルに合わせて食事を摂る必要がありますが、夜眠る前に胃の中が空になっている状態にするような食生活が望ましいと言えるでしょう。

 

 夜眠る前の夕食は、糖質脂質は避け、吸収が良く肥満には直接結びつかないビタミン・ミネラル・食物繊維や体の組織成分となるタンパク質を中心にしするとよいと言われています。


4.食事バランスについて

 理想的な比率は

 

「炭水化物:タンパク質:脂質=60%:30%:10%」

 

と言われております。痩せたい方は炭水化物の比率を40%、50%などに減らして、その分タンパク質を増やすなど比率を変えていきます。

 

 上図の2650キロカロリーを基準にすると、摂取する比率は

 

「炭水化物1590kcal:タンパク質795kcal:脂質265kcal」

 

という数字になります。

 

 これを一日の目安にして、食事のメニューを変更していくということです。

※ 厚生労働省による「日本人の食事摂取基準」(2020年版)ですと、炭水化物は55%~65%の間を目標量としております。

 

 炭水化物、いわゆる糖類は簡単に摂取できるのでどちらかというと、肥満や成人病予防のためにその範囲に抑えようといったところです。


5.カロリーコントロールの不確定要素

 いくらカロリーコントロールしようとしても人間のからだは個々によって体質が異なるので、ダイエット本などがうまくいったからと自分がそうであるとは限りません。

 

 以下のように不確定要素が多数あるということを考慮しておきましょう。

1.同じカロリーでも各栄養素によって性質役割がことなる。

2.同じ食材でも生産環境や大きさなどによりカロリーが異なる。

3.摂取されたエネルギーがすべて体内に吸収されるわけではない。

4.吸収量は人によって異なる。

5.人それぞれ基礎代謝が異なる。

6.同じ活動をしていてもそれぞれ体格や体質でエネルギー消費が異なる。

 

などで、他の方の食事がこうだったからと、自分では上手くいかない場合も多いということを念頭に入れてダイエットに取り組んでいきましょう。


自身の目標体重を見つけたい方はこちら

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【参考書籍】

ダイエット検定テキスト

佐藤義昭著「誰も教えてくれなかった本物のダイエット」 

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